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プラスチックの接合方法とは?接着と溶着の違い・選び方を解説

プラスチック部品を組み立てる際、「どのような方法で接合するか」は製品の品質や生産性を左右する重要なポイントです。
代表的な方法としては、接着剤を使用する「接着」のほか、熱や振動を利用する「溶着」、ねじやリベットなどを用いる「機械的締結」があります。
なかでも接着と溶着は、接合部を目立たせにくく、製品設計や量産工程にも取り入れやすいことから、さまざまなプラスチック製品で利用されています。
ただし、接着と溶着のどちらが優れるというものではありません。使用する樹脂、接合する材料の組み合わせ、必要な強度、生産数量、設備条件などによって適した方法は異なります。
この記事では、プラスチックの代表的な接合技術である接着と溶着について、それぞれの特徴や違い、選び方のポイントについて解説します。
目次
プラスチックの主な接合方法
プラスチック製品の接合方法は、主に次のようなものがあります。
●接着剤による接着
●超音波や熱などを利用した溶着
●ねじ・ボルト・リベットなどによる機械的締結
●部品形状を利用したはめ込み・スナップフィット
それぞれにメリットと注意点があり、製品形状や用途によって使い分けられています。
例えば、分解やメンテナンスを前提とする製品では、ねじなどによる締結が適している場合があります。一方で、部品同士を面で接合したい場合、接合部を目立たせたくない場合、気密性・密閉性を要する場合などには、接着や溶着が検討されます。
接合方法を選ぶ際には、製品に求められる性能や生産条件を整理し、それぞれの工法の特徴を比較することが重要です。
プラスチックの溶着技術とは
溶着とは、プラスチックに熱や振動などのエネルギーを与え、接合部分を軟化・溶融させて一体化する方法です。
接着剤などの副資材を使用せず、プラスチックそのものを利用して接合できる点が大きな特徴です。
代表的な方法として、超音波溶着や熱溶着などがあります。
超音波溶着
超音波溶着は、接合するプラスチック部品に高周波の振動を加える方法です。接合面で発生する熱により樹脂を局所的に軟化・溶融させ、加圧した状態で冷却することで部品同士を接合します。
比較的短時間で接合できるため、量産品の組立工程などで利用されています。
一方で、使用する樹脂の種類や部品形状、接合部の設計などによって仕上がりが大きく左右されます。また、超音波溶着機や製品に合わせた治具などの設備も必要になります。
熱を利用した溶着
熱板や熱風などを利用し、プラスチックの接合部分を軟化・溶融させて接合する方法もあります。比較的大きな部品にも利用できますが、使用する樹脂の耐熱性や製品形状によっては、熱による変形などに注意する必要があります。
このように溶着にはさまざまな方式があり、対象の樹脂や製品形状、生産数量などにより適した方法が異なります。
接着剤によるプラスチック接合
接着は、二つの部材の間に接着剤を介在させて一体化する方法です。
溶着のように材料そのものを溶融させる必要がないため、異なる種類の材料を組み合わせやすいことが大きな特徴です。
例えば、
●プラスチックとプラスチック
●プラスチックと金属
●プラスチックとゴム
●プラスチックと紙・不織布
など、異なる素材を組み合わせる製品では、接着剤が有力な選択肢となる場合があります。
また、ねじやリベットのような点での固定とは異なり、接合面全体で力を受けやすいため、製品形状や使用条件によって応力を分散させやすいこともメリットのひとつです。
接着剤には、反応型接着剤、溶剤型・水系接着剤、ホットメルト形接着剤など、さまざまな種類があります。そのため、接着する素材だけでなく、必要な強度や耐熱性、作業方法、生産速度なども考慮して選定する必要があります。
接着と溶着はどう使い分ける?
接着と溶着には、それぞれ異なる特徴があります。
| 比較項目 | 接着 | 溶着 |
| 接合の仕組み | 接着剤を介して材料同士を接合 | 樹脂を軟化・溶融させて接合 |
| 異なる素材の接合 | 比較的対応しやすい | 材料の組み合わせに制約がある |
| 専用設備 | 接着剤や塗布方法により異なる | 溶着機・治具などが必要 |
| 熱・振動 | 工法によって抑えられる | 熱や振動を利用する |
| 接合の形状 | 比較的自由度が高い | 接合部の形状設計が重要 |
| 生産速度 | 接着剤や作業工程により異なる | 短時間で接合できる方式もある |
例えば、同種の熱可塑性樹脂を大量に接合する場合には、短時間で処理できる溶着が適しているケースがあります。
一方、異なる素材を組み合わせたい場合や、製品形状・設備条件によって溶着が難しい場合には、接着剤による接合が有効な選択肢となります。
そのため、接合方法を検討するときには、「どの接着剤を選ぶか」「どの溶着機を選ぶか」というところから始めるのではなく、まず製品に求められる条件を整理し、その条件に合った工法を選ぶことが重要です。
接着剤が適しているのはどんな場合?
特に次のような条件では、接着剤による接合を検討する価値があります。
異なる素材を接合したい
プラスチックと金属、ゴムなど、異なる材質同士を組み合わせる場合、それぞれの材料は熱による性質が異なるため、溶着が難しいことがあります。
接着剤であれば、双方の素材や使用条件に適した製品を選定することで、異材質の接合に対応できる場合があります。
複雑な形状を接合したい
製品の形状によっては、溶着機のホーンや治具を設置しにくい場合があります。
接着剤は塗布位置や塗布方法を工夫できるため、製品形状に合わせて接着工程を構築しやすいことがメリットです。
ただし、接着剤にも塗布可能な位置や使用条件などがあるため、製品設計と工程の両面から検討することが必要です。
熱や振動の影響を抑えたい
電子部品や薄いプラスチック部品などでは、接合工程で発生する熱や振動が問題となることがあります。
使用する素材や条件に適した接着剤を選ぶことで、こうした影響を抑えながら接合できる場合があります。
接着工程の自動化を検討したい
接着剤を使用する工程というと、手作業で塗布するイメージを持たれることもあります。しかし、ホットメルトなどでは、供給装置・塗布ガン・コントローラーなどを組み合わせることで、接着工程を製造ラインに組み込むことも可能です。
手作業による塗布から自動化へ切り替えることで、作業の効率化や塗布量のばらつき低減につながる場合があります。
プラスチック接着では素材の種類に注意
一口にプラスチックと言っても、その種類はさまざまです。
ABS、PET、PVC、ポリカーボネートなど、それぞれ異なる性質を持っているため、同じ接着剤で全ての樹脂を接着できるわけではありません。特にPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などのポリオレフィン系樹脂は表面エネルギーが低く、一般的に接着しにくい「難接着材」とされています。
こうした難接着材に対しては、素材との親和性を考慮して設計されたポリオレフィン系ホットメルトが有効な場合があります。ただし、樹脂のグレードや添加剤、表面状態、使用環境などによって接着性は異なるため、実際の素材と使用条件に合わせた事前テストが重要です。
また、接着剤の選定だけで十分な接着性が得られない場合には、
●難接着材に対応した接着剤を使用する
●プライマーを使用する
●コロナ処理やプラズマ処理、フレーム処理などの表面改質を行う
といった対策が検討されます。
さらに、接着剤を選ぶ際には、接着直後の強度だけで判断することはできません。
温度、湿度、水分、薬品、振動、荷重など、製品がどのような環境で使用されるのかによっても適した接着剤は変わります。
そのため、プラスチックを接着する場合には、素材の種類だけでなく、製品の用途や使用環境まで確認したうえで接着剤を選定することが重要です。
接合方法は「材料」と「工程」の両面から検討する
プラスチックの接合では、材料に適した工法を選ぶだけでなく、実際の生産工程まで考慮することが重要です。
例えば、
●何と何を接合するのか
●どの程度の強度が必要なのか
●どのような環境で使用されるのか
●どの程度の数量を生産するのか
●どの程度のタクトタイムが必要なのか
●現在どのような設備を使用しているのか
といった条件を整理することで、製品と生産工程の両方に適した接合方法を検討しやすくなります。
特に接着剤を使用する場合、接着剤そのものの性能だけでなく、塗布量や塗布温度、オープンタイム、圧着条件なども接着状態を左右します。そのため、接着剤の選定だけでなく、「どのように塗布し、どのような条件で接着するか」まで含めて検討することが、安定した接着品質につながります。
まとめ
プラスチックの接合にはさまざまな方法があります。
溶着は、同種の熱可塑性樹脂を短時間で接合したい場合などに適しているケースがあります。一方で、異なる素材を組み合わせたい場合や、製品形状・設備条件などによって溶着が難しい場合には、接着剤による接合が有力な選択肢となります。
接着剤を使用する場合には、実際の使用環境や生産工程まで含めて検討することが重要です。
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