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天然系接着剤について

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天然系接着剤を試してみませんか?

20世紀前半以前までは、「接着剤」と言えば、にかわ、カゼイン、澱粉、天然ゴム、漆など天然素材を素にしたものが主流でしたが、その後は高分子化学の発展により合成樹脂接着剤(合成系接着剤)が主流となりました。
にかわ、カゼイン、澱粉、天然ゴム、漆など天然素材を素にしている接着剤は(合成系接着剤と区別するために)天然系接着剤と呼ばれています。「天然」という言葉が使われているため、「人の手が加えられていない、自然のままの接着剤」というイメージを持ってしまいますが、必ずしもそういう意味ではありません。
天然系接着剤とは、天然物(主に動植物)から目的の成分を分取・抽出し、接着剤として使用出来るように加工・調整したものと言えます。昔から使われているにかわ、カゼイン、澱粉、漆なども天然物から分取・抽出・加工・調整などを経て接着剤として使用されています。
最近では、天然素材を合成樹脂の原料として使用した接着剤、天然系接着剤と合成系接着剤を混合したもの、天然系接着剤に架橋剤(合成樹脂等の分子同士を化学的に連結させるもの)を添加して使用する方法などがありますが、これらについても広義に解釈すれば天然系接着剤と言えます。

ここでは、弊社がご紹介可能な天然系接着剤について説明させて頂きます。
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澱粉糊

澱粉は植物の中で作られる天然成分です。植物は光合成という働きによって、大気中の二酸化炭素と体内の水からブドウ糖と酸素を作ります。作られたブドウ糖はエネルギーや(セルロースとして)成長などに利用されますが、余った分は根や実に(澱粉として)蓄えられます。
※セルロースや澱粉は、ブドウ糖が多数結合してできたものです。
現在、澱粉糊としては、小麦、トウモロコシ、タピオカなどの澱粉が良く使われます。澱粉糊は、姫糊(ヒメノリ)、続飯(ソクイ)、正麩糊(ショウフノリ)などとも呼ばれますが、本来、姫糊と続飯はご飯つぶを潰して練って作った糊、正麩糊は小麦澱粉から作った糊の事を呼びます。
澱粉と水から澱粉糊が出来るのですが、ただ単に澱粉と水を混ぜるだけでは糊にすることは出来ません。糊にするには澱粉の糊化(コカ)という工程が必要になります。澱粉と水を混合して加熱(またはアルカリ性物質、塩類などの添加)を行い、しっかり練る作業を行う事でペースト状の澱粉糊を作る事が出来ます。
澱粉糊の工業用途としては、紙加工分野で使用されています。
 
 

デキストリン

デキストリンとは、澱粉を酵素、酸、熱などで分解したものです(デキストリンは糊精とも呼ばれます)。デキストリンは冷水にも溶解し、高濃度の水溶液を得ることができます。このデキストリン水溶液を接着剤として使用します。
デキストリン系接着剤の工業用途としては、紙加工分野で使用されています。また、再湿糊(乾燥しても水分を与えれば再び糊状となる、切手の裏糊のようなイメージ)としても使用されます。
 
 

にかわ

主に牛、馬、豚の皮や骨に含まれているコラーゲンというタンパク質がにかわの原料になります。このコラーゲンを少し分解したものがにかわとなります。
にかわは冷水中では溶けないで数倍量の水を含んで膨潤します(水を吸って膨らんだ状態)。膨潤したにかわを温めていくと、溶液状態になります(この時の温度を融解点と言います)。この溶液状態のにかわを冷却していくと、水を含んだままゼリー状になります(この時の温度を凝固点と言います)。溶液状態をゾル、ゼリー状態をゲルと呼び、これらの状態変化をゾル-ゲル変換と呼びます。このゾル-ゲル変換は何回も繰り返すことができ、接着剤として使用する場合の大切な性質になります。
ゾル-ゲル変換の性質を示すのは、ある濃度範囲のにかわ水溶液であり、にかわ濃度が低すぎる場合は温度を低くしてもゲル状態にはなりませんし、逆に濃度が高すぎるとゾル状態にはなりません。
にかわ水溶液を接着剤として使用する場合、ゾル状態の時に塗布及び貼り合わせを行い、冷却によってゲル状態になると初期接着の状態になり、その後ゲルの中の水分が乾燥する事でゲル状態から丈夫な固体のにかわとなり接着が完了します。
※初期接着とは、貼り合わせ後、ズレやハガレが起こらなくなった時点の事を言います(最低限の接着強さが発現した状態であって、最終的な接着強度には到達していない)。
にかわの工業用途としては、紙加工分野の接着剤として使用されています。
 
 
【ゾル状態】



【ゲル状態】

カゼイン

主に牛乳に含まれているリン酸化タンパク質を抽出したものです。脱脂乳に酸を添加してカゼインを凝固抽出したものを酸カゼイン、レンネット(凝乳酵素)を添加してカゼインを凝固抽出したものをレンネットカゼインと呼びますが、接着剤として使用されるのは酸カゼインの方です。
酸カゼインは水と混合しただけでは溶解しません。これにアルカリ性物質(水酸化ナトリウム、硼砂、アンモニアなど)を添加して撹拌していくと溶解します(熱を加えながら撹拌すると早く溶解します)。
工業用途としては、ラベル用接着剤として使用されています。
澱粉糊、デキストリン、にかわ、グルテンと比べると耐水性が高い接着剤です。

 
 

グルテン

小麦に含まれている2種のタンパク質(グルテニンとグリアジン)が結びついたものです。小麦粉から(澱粉とグルテンに)分取されて製造されます。
グルテンと水を混合すると、グルテンが水を吸ってガムのような状態になります。これを接着剤として利用する事ができます。
昔は盤石糊(バンジャクノリ)と呼ばれて革や木の接着に使用されていたようです。
現在は工業用接着剤としては使用されていないようです。
 
 
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